大切な人〜後編
 社と尾田島は、初恋の甘い時を経験している二人を見守り続けた。
 幸せな時の断片。悩み苦しんだ時の断片。まるで恋愛映画のいくつものワンシーンを見てい
る感覚。その映像は瀬崎と立花の幸せな記憶の断片のようだった。いつのまにか、社と尾田島
はその記憶の断片を見ながら、感情移入をしていた。季節は巡り、瀬崎と立花が出会った年が
終わり、春が訪れた。

 再び視界が暗転して、社と尾田島が立った場所は広い畑の真ん中あたり。満月の月が夜空に
浮かび、おびただしいほどの星が瞬いている。遠くのほうに室内の光の灯った藁葺き屋根の民
家が数軒ほど見える。
「今度はどこなのだ?ここは。・・・」
「さあ、外みたいだけど。・・・あ!淳子。あれってなんだか見たことないか?」
 周囲を見回していた社が驚いたように声をあげて、右の方向に指差した。その指差す方向を
尾田島が見て、やはり同じように驚いた顔になる。
 社が指を指した方向には、小高く隆起した丘の上に立つ桜の木があった。月明かりに浮かび
上がった桜の薄紅色の花が鮮やかに見える。その光景はまさに、社と尾田島が訪れた小高い丘
にある桜の木と同じだった。
「もしかして、あそこって、俺たちが知っている場所と同じじゃないか?」
「そうだな。まるで同じだ。・・・行ってみよう太助」
 二人は桜の木に近づくにつれて、ますます自分たちの知っている桜だと確信した。桜の形か
ら丘に立つ佇まいまで、そっくりだったからだ。そして、その桜の木の根元に、洋服を着た男
と着物を着た女がいることに、二人は気づいた。
「あの二人だ」
「うん。・・・幸せそうだな」

 瀬崎と立花は桜の下に敷物を敷いて、ふたり寄り添うように座っていた。桜の木を見上げな
がら、瀬崎はお酒をちびちびと飲んでいる。立花はそんな瀬崎を愛しそうに見ていた。
 そんな立花の様子を見た瀬崎は、まるで嫌なことを忘れたいとでもいうように、お酒をグッ
と一気にあおって飲み干した。
「ねぇ、優子。本当に君は逝ってしまうのかい?」
「うん。・・・半月くらい前からそんな予感はしていたの。あの月の方向に昇っていけば、私
は成仏できる。その時が来たんだと思う」
 少し寂しそうに微笑みながら言い。そして、立花は月を見上げた。
「この世に未練がなくなったのかい?」
「そうかもしれない。・・・敬一郎には大切なことをたくさん貰ったから」
「大切なこと?」
「人を愛し愛されるということ」
「僕はちゃんと優子に伝えられたのかな。・・・」
「十分すぎるほどにね」
 二人はお互いの気持ちを確かめ合って、その幸せを噛み締めるように微笑みあった。そして
、立花は瀬崎に手を伸ばして、切なそうに愛しそうに顔や体の輪郭を手でなぞった。
「ただ。・・・あなたとの最後の夜だから白状するけど、私は敬一郎を感じてみたかった。あ
なたの腕の力強さ。あなたが私に触れる指や唇の感触を。・・・違うな。敬一郎の全部を感じ
たかった。・・・」
「僕も同じだよ。優子の綺麗な髪に触れてみたかったし、抱き締めて君の全部を感じたかった

「私たち全然だめね。未練たらたらなんだもの。・・・・でも、もう時間切れ。もうそろそろ
行かなきゃ。・・」
「優子。・・・逝くな。・・」
 眉根を寄せて哀願するように言う瀬崎。立花はその言葉にグッと喉を詰まらせた。本音を全
部吐き出して瀬崎の元へ行きたい。でも、もう自分はこの世から、あの世へと逝かなければな
らない。そう自分の本能が言っている。それはまだ見ぬ神様の意思なのかもしれない。
あの世へと逝かなければならないという強い衝動が立花を突き動かしていた。
「敬一郎がそんなことを言っちゃだめじゃない。・・・」
 立花は全てを吹っ切りたいかのように、勢いよく立ち上がった。瀬崎は静かに立ち上がり、
二人は向き合う。
 二人とも先ほどのような穏やかな表情が消えて、悲壮感だけ漂った表情に変わっていた。
 立花の意思は固い。そう分かった瀬崎は、ある決意を持った顔で自分に頷く。
「ちょっと僕の話を聞いてくれないか?」
「どうしたの?・・・」
「これなんだけど。・・・」
 瀬崎の座っていた脇に置いてあった紙袋を手に取り、中から小さな漆塗りの木箱を取り出し
た。
 その箱は十センチ四方の正四角形の形をしている。その箱の蓋を取ると、箱の壁が分厚くな
っているのが分かる。中に入れられるスペースは小さい。その小さなスペースには綿が敷き詰
められ、中には円形状の貴金属が入っている。
「それはなに?・・・」
 立花は不思議そうな顔をして、箱の中を覗きこむ。
「これはね。結婚指輪と言うんだ。日本にはまだない物。僕の本を出版してもらっている出版
社の編集者が、外国によく行っていてね。頼み込んで買ってきてもらったんだ」
 瀬崎は指輪を取り出して、立花に見せるようにかざした。その指輪は月の光を受けて微かに
銀色に光った。
「結婚指輪はヨーロッパなどで婚約や結婚をした時に、左手の薬指に身に付ける物。その習慣
の起源はローマ・ギリシャ時代に遡るそうだよ。丸い円は継ぎ目がないから途切れない愛。不
滅の愛を表す。左手の薬指につけるのは、左手の血管が心臓に直接に繋がっていると宗教で信
じられていたからなんだ」
「なんだか、とても素敵な話ね」
 瀬崎は同意するように頷いた。
「ところで、優子は輪廻転生という言葉を知っているよね」
「死んだ者は四十九日後に生まれ変わるという?」
「そう。魂だけは不滅なんだ。なんだか指輪の永遠の愛と似ているね。輪廻転生を繰り返して
いけば、いずれ僕たちは、また出会えるんじゃないかな。・・・だから、この指輪はこの場所
に埋める。指輪は生まれ変わった僕たちがつけよう」
 永遠の別れをする二人は、暗い闇夜の中で、光り輝く希望を手に入れたような気がした。た
とえこれから二人の未来が闇に包まれても、その光を追っていけば、いつかは出会える。
そんな気持ちになったのだった。立花の表情に明るさが戻り、そして歓喜の表情へと変わって
いった。
「初めてあなたと出会ったのは、この場所だった。・・・そうなったら、とても素敵ね」
「これが道しるべになる。よく見ていて、この場所に埋めるよ」
 瀬崎は指輪を箱の中に入れると、桜の木の根元ちかくに穴を掘り埋めた。二人はその場所を
ただ黙って、しばらく見ていた。その場所を目に焼き付けるように。・・・
 そして、二人は手を繋ぐようにしてその場所から離れた。桜の木の立つ丘を降りて、瀬崎と
立花はお互いに向き合った。名残惜しそうに見詰め合っていたが、とうとう立花が口を開いた

「私、もうそろそろ行かなきゃ。・・・」
「そうか。・・・」
「敬一郎。愛してる。さよならなんて言わないよ?」
「ああ、俺も愛してる」
 愛を確かめあう声が微かに震える。たとえ未来に希望ができたとしても、その光は脆弱な小
さな光。一時の別れだと自分に言い聞かせていても、悲しくないわけがなかった。
「あら?・・・」
 二人のことを見守っている社と尾田島の方に、立花はふと視線を向けた。瀬崎は立花の視線
を追って見る。そして、首を傾げた。
「どうした?」
「あの桜の木の横に未来の私たちが見えた気がしたの。・・・私たちはきっと出会える」
 立花はそう確信して微笑んだ。その微笑みがあまりにも希望に満ちたものだったので、瀬崎
も思わず頷いていた。
「・・・行ってきます。敬一郎。・・・」
 身体が浮き上がり、月へと昇っていく。立花は微笑みながら一筋の涙を流した。二人の間に
強い夜風が吹いて、桜の木の枝が大きく揺れた。たくさんの薄紅色の花びらが舞い落ちて、二
人の間を包んだ。幻想的な光景。
「行ってらっしゃい。優子。・・・」
 敬一郎はそう言いながら、桜の花が舞う空を見上げる。月へと向かっていく立花の姿を、涙
で滲む目に焼き付けたのだたった。



「・・・子・・・淳・・子・・・淳子!」
 誰かが自分の名前を呼んでいる。慣れ親しんで一番に好きな声。身体が揺さぶられているの
を感じて、尾田島は深い眠りから目覚めようとしていた。
「う。・・・ん。・・・太助?・・・」
 ぼやけた視界の中に、社の顔が浮かび上がった。上半身を起こした尾田島は、自分の瞳に涙
が溜まっているのに気づいた。重力に負けた涙の粒がポロリとこぼれる。
「涙。・・・」
 社はポケットからハンカチを取り出して尾田島に手渡した。
 渡されたハンカチで目元を拭きながら、尾田島は周りを見回した。
 太陽の光で公園内はオレンジ色に染まっていた。もう遠くから人の声も人影もなかった。
恐らく夕方になり公園内にいた人々は家に帰って行ったのだろう。
「もう夕方か。・・・私はどのくらい寝ていたんだ?」
「だいたい三時間くらい。かなりグッスリと寝ていたぜ。まぁ、俺もいま起きたばかりだけど
な」
「そうか。・・・」
 二人の間に桜の花びらが、ヒラヒラと舞い落ちてくる。その光景を見て尾田島は後ろを見上
げた。夢でも見たあの桜の枝が微かに風に揺れていた。尾田島は桜の木を見上げたまま社に話
しかけた。
「太助。・・・」
「うん?」
「変な事を言うようだが、真面目に答えてくれ。・・・太助もあの夢を見たのか?」
 社は切なそうな苦しそうな顔をして、桜の木を見上げた。そして、そっと目を瞑り答えた。
瞼の裏に映るのは、満開の桜の木の下で離別した二人の恋人たち。
「ああ、見たよ。・・・淳子と一緒に。・・・」
「そうか。・・・やはり、あれはただの夢ではなかったのだな。・・・太助」
 尾田島は社の方へ視線を戻した。社は目を開けて真剣な表情の尾田島を見た。
「なに?」
「確かめに行かないか?」
「いいよ。俺もそうしたいと思っていたから」
 社と尾田島は立ち上がると、桜の木の根元ちかくまで手を繋いで歩いて行った。二人の間に
期待と不安が入り乱れる。お互いに信じあおうとするように、いつもよりも強くお互いの手を
握り締めた。
 夢と同じ場所を探し、その場所を見つけると、二人は手を繋いだままで、その場所を囲うよ
うに立った。
「この場所だったよな」
「ああ、ここだと思う」
 社は近くに落ちていた枯れ枝を拾って、それをスコップ代わりに土の地面を掘り始めた。枯
れ枝ではなかなか作業が進まない。それを見ていた尾田島は、近くに落ちていた枝を拾い社の
作業を手伝う。ガツガツと土の地面を掘り返しながら、尾田島が息を弾ませて言った。
「なんだか。結婚前に二人の共同作業をしているみたいだな。・・・」
「確かに」
 社は息を弾ませながら苦笑で応えた。
 ガリガリと枝を地面に突き刺して、土を掘り返していくうちに、だんだんと穴が深くなって
いく。感であたりをつけて穴を掘ったので、掘っている場所に目的の物があるのか分からない
。それに夢の中での話で現実にあるのかも分からない。それでも、二人の手にはまったく迷い
がなかった。
「もうそろそろなんじゃないか?」
「うむ。少し掘る力を緩めよう。傷をつけないようにしないと。・・・」
 腕の力を緩めて、土の表面を優しく掘り進めるようにする。しばらくすると、今までにない
軽い感触が枯れ枝の先端に触れたのに社は気づいた。
「何かに当たった!あの箱かもしれない」
「本当か!?」
 尾田島は掘る手を休めて社を見守った。社の枯れ枝の先に木箱の一部が見えていた。その木
箱のまわりの土を慎重に枯れ枝で掘り払う。
「これがそうなのか?」
「ああ、間違いないと思う」
 まだ蓋の部分しか見えないし、漆は剥げてなくなっているが、形や大きさは間違いなくあの
夢で出てきた木箱に似ていた。ある程度まで掘り進み、最後には手で引っ張って木箱を土の中
から取り出した。表面についている土を手で払いながら、木箱の全体を眺める。間違いはなさ
そうだった。
「すごくドキドキする」
 社が持つ木箱を眺めながら、尾田島は興奮を無理矢理に抑えた声で言った。
「蓋を開けるぜ」
 社はゆっくりと蓋を開けていく。蓋を完全に取り払うと、分厚い木箱の壁で守られた指輪が
二つ入っていた。夢の中で見た輝きを指輪は失っていなかった。社と尾田島はその指輪を見た
瞬間に背筋に鳥肌が立った。
「綺麗!・・・プラチナだな」
「箱の表面は雨と土で腐りかけているけど、分厚い木の壁で守られていたんだ」
 社は中に入っている二つの指輪を手に取って、右手の手の平にのせた。そして、木箱の蓋の
裏に何かが書かれているのを発見した。
「なぁ、淳子。蓋の裏に何かが書いてあるぜ」
「なんて書いてあるんだ?」
 尾田島はそう言いながら、張り付かんばかりに社に身を寄せた。社はそんな尾田島に蓋の文
字を見せながら、書かれた文字を読み始めた。
「大正八年四月五日。ここに二つの指輪を保管する。この指輪は見つけた者に譲渡するものと
する。瀬崎敬一郎」
「この指輪を受け取る側にも気を遣うとは、人柄がでているな」
「律儀なところが、夢で見た印象そのままだよな」
 社と尾田島は敬一郎の気遣いが嬉しくて笑みをこぼした。そして、二人は夕焼けにオレンジ
色に輝く二つの指輪を観察した。
 尾田島は指輪を見ながら、桜の木の下で離別した二人の会話を思い出していた。もしかした
ら。昔の縁(えにし)が自分と太助を繋いでいるのかもしれない。考えれば考えるほど、その
想いが強くなっていく。こんなことを言って、太助に笑われないだろうか。そう思いながらも
、確認せずにはいられなかった。
「太助。・・・生涯の伴侶となる人と、小指と小指が見えない赤い糸で結ばれているって迷信
があるだろう。私はその迷信を信じてみたくなったぞ」
 笑うだろうか。そんな尾田島の気持ちは杞憂に終わった。社は尾田島の気持ちが分かるとで
もいうように、真剣な顔で頷いた。
「俺も淳子と同じ気持ち。・・・あの夢を見ていなかったら、きっと笑っていただろうな」
「私の小指の赤い糸は、太助に繋がっていると思うか?」
 尾田島は左手の小指を社の眼前にかざした。
「確かめてみる?」
「どうするのだ?」
「こうするんだよ」
 社は二つの指輪の中で一回り小さな指輪を握り、大きな指輪を尾田島の手に握らせた。
「なんで婚約指輪のサイズが合わなかったのか、いま分かったような気がする。きっと、こう
しなくちゃいけなかったんだ」
「太助。・・・」
 尾田島は手渡された指輪を胸の前に持っていき強く握り締める。
「おかえり」
 社は突然にそう言うと微笑んだ。最初は社が何故そんなことを言ってきたのか、理解できず
に尾田島は戸惑ったが、すぐに理解した。これは夢の中で見た敬一郎と優子の二人が、最後の
希望として夢見た光景なのだと。悲しい別れを選んだ二人の願いを、成就させる儀式なのだと

 社と尾田島は、瀬崎と立花の幸せそうに微笑む面影が見えたような気がした。
 あの二人は、ずっとこの言葉を聞く時を夢見ていたに違いない。そう思うと、尾田島の胸に
切ない思いが込み上げて、声が震えそうになった。
「ただいま」
 そう言って、なんとか微笑を返すので精一杯だった。社はそんな尾田島の左手を取って言っ
た。
「淳子。・・・これからずっと、一緒に俺と歩いてくれないかな」
「うん。・・・・うん。・・・」
 尾田島は、頷きながら瞳からポロリと涙を流した。悲しいからではない。嬉しいのに何故こ
んなに涙が流れるのだろう。尾田島はそんな自分に戸惑いながらも、嫌な気分ではなかった。
今までで一番の幸福感に包まれていた。
 社はそんな尾田島の手に指輪を通した。その指輪は、尾田島の指のサイズに合わせて作られ
たかのように、ぴったりだった。
「もう結婚指輪は作る必要もなくなったな」
 そう言う社の言葉を聞きながら、尾田島は自分の指輪にぴたりとサイズが合っていたことで
、ますます涙を溢れさせた。社は愛しそうに尾田島の頬を流れる涙を手で拭う。そして、左手
を尾田島に差し出した。尾田島は、震える手で、社の左手の薬指に渡されていた指輪を通した

「うん。やっぱり、ぴったりだ」
 社は指輪の感触を確かめるように、何回も握りこぶしをつくっては離した。

 一度は離れた二つの魂は、長い時を経て再び出会い結びつき、指輪を再び手にした。

「今回のプロポーズはビシッと決まっただろ?」
 茶目っ気たっぷりに笑顔を見せる社。
「馬鹿。・・・太助にしては上出来すぎだ。・・・」
 尾田島は目に溜まった涙を指先で拭って、クスリと笑う。社の手を取って引き寄せた。顔を
社の胸にうずめてギュッと強く抱き締められる。敬一郎や優子にはできなかった。身体でお互
いの気持ちを確かめ合うやり方。
 人を愛するには、精神的なものも大事だ。でも、それ以上にお互いの身体を確かめ合う温も
りや感触が必要なのだと、二人は気づいた。だから、敬一郎や優子は、お互いに別れる決心が
ついたのかもしれない。
「太助。・・・私よりも先に死ぬな。約束だぞ?」
「それはこっちのセリフだよ。・・・」
 社はそう言うと尾田島の顎を指先であげて、濡れた唇に自分の唇を重ねた。
 柔らかい唇の感触。甘く絡み合う熱い舌先。唇を離す度に聞こえる荒い息遣い。お互いに身
体を押しつけ合い、伝わってくるお互いの心臓の鼓動。
 生きている。そう強く感じる。
 大切な人と一緒に生きて、愛しあえる幸せ。
 コップに注いだ水がこぼれ溢れるように、愛しいと思う気持ちが、胸から溢れ出て止まらな
い。
 
 口付けを交し合う二人を祝福するように、一陣の強い風が吹いた。桜の木から、桜の花びら
が舞い落ちる。雪のように途切れることのない薄紅色の花びらの乱舞。
「太助。・・・愛してる」
「俺も愛してるよ」
 社と尾田島は唇を離すと、雪のように舞い落ちる薄紅色の花びらの中で抱き締めあいながら
、いつまでもその幻想的な光景を眺めていたのだった。

                                          
                                    大切な人 完